「乾癬(かんせん)」について解説いたします!
今回は、冬になると発症したり悪化したりする皮膚疾患
「乾癬」について解説いたします!
○乾癬(かんせん)
乾癬とは、遺伝的要因に様々な環境要因が加わることにより免疫機能に異常が起こり、表皮の新陳代謝が異常に(約10倍)早まり、表皮が過剰に増殖する慢性炎症性疾患です。
有病者数は男性:女性=2:1で男性に多く、男性では50代で女性では20代でピークを迎えます。
また心配する方もおられますが、感染症ではないため人にうつることはありません。
・原因
乾癬は遺伝的要因と環境要因が複雑に組み合わさって発症します。
遺伝的要因
からだの免疫のコントロールに深く関与する遺伝子領域の異常などにより
免疫の異常や自己免疫反応を起こしやすい体質をもたらすと考えられています。
環境要因
ケガや手術などの物理的な刺激、薬の使用(一部の降圧剤、抗生物質など)細菌・真菌・ウイルス感染症などが要因として挙げられます。
またストレス、喫煙、アルコール、日光、季節(冬)、脂質の多い食事および肥満、糖尿病、妊娠などの因子が乾癬を発症・悪化させることが知られています。
・種類
乾癬は5つに分類することができます。
①尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)
②乾癬性関節炎(かんせんせいかんせつえん)
③滴状乾癬(てきじょうかんせん)
④乾癬性紅皮症(かんせんせいこうひしょう)
⑤膿疱性乾癬(のうほうせいかんせん)
このうち①尋常性乾癬が最も一般的で患者の8割ほどにあたります。
そこで以下では尋常性乾癬の症状、治療法について説明させていただきます。
〇尋常性乾癬
・症状
「紅斑(こうはん)」:皮膚が炎症を起こして赤くなる、発疹ができる
「浸潤(しんじゅん)・肥厚(ひこう)」:皮膚が盛り上がる
「鱗屑(りんせつ)」:盛り上がりの表面を銀白色の細かいかさぶたが覆う
「落屑(らくせつ)」:かさぶたがフケにようにポロポロと剥がれ落ちる
この4つの症状が進行ともに現れ、部位としては慢性的に擦られる刺激を受けやすい頭皮、生え際、肘、膝、お尻、下腿に現れやすいです。
特に頭皮や生え際のみに症状がある場合は、脂漏性皮膚炎との見分けがつきづらいと言われています。
(脂漏性皮膚炎についてはこちら
https://www.igenericstore.jp/special/lifenews/lifenews20201002
)
かゆみは同じ皮膚疾患であるアトピー性皮膚炎などと比べるとあまり見られませんが入浴やアルコール摂取時に強くなることがあります。
・治療
乾癬は慢性疾患であるため症状の良し悪しを繰り返す中でその時ごとに適した治療法を行う必要があります。治療のステップとしては外用療法→光線療法→内服療法→抗体療法から重症度や効果・副作用を考慮して選択します。
外用療法:ステロイド、ビタミンD外用薬
軽症の場合はまずは外用療法からスタートし、炎症を抑えることを目的とする
光線療法:紫外線を用いて行われる
内服療法:ビタミンA誘導体、免疫抑制薬、PDE4阻害薬
症状が広範囲に及ぶもしくはかゆみがある場合に選択される
抗体療法:生物学的製剤の注射・点滴
上記3つの治療で効果が得られない場合に行われる。
・知っておいてほしこと
乾癬は診断後に重症度をみてから個人にあった最適な治療を選択していく疾患です。治療に使われる薬や治療法は費用が高額になることも多く経済的な負担があります。
また、乾癬は症状だけでなく、症状が現れている肌を他人に見られることでストレスを感じ、「夏に半袖を着づらい」「フケが気になって美容院に行きづらい」など精神的な負担を感じる方が多い疾患ですので、QOLを考えた適切な治療を受けることが大切です。
今回は「乾癬」について解説いたしましたがご紹介した内容を読んでもしかしたら?と思われた方は、自己診断は避け医療機関の受診の上適切な治療をお受けになることをおすすめいたします。