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ウイルス、感染、抗体、ウイルス感染症にまつわる単語を徹底解説

新型コロナウイルス関連の話題でよく聞く単語の意味を解説します。
~「細菌」「ウイルス」「ワクチン」「抗体」それぞれ言葉の意味と違い、説明できますか?~



ここ数か月は毎日新型コロナウイルス関連の話題やニュースを目にします。
それに伴い「ウイルス」「抗体」「ワクチン」といった言葉がよく使われていますが、
それぞれの単語がどういう意味なのかあやふやなところはないでしょうか。
今回はウイルスとは何か、を始まりに感染方法、免疫機構、感染予防に至るまで
細胞レベルの詳しい解説をしていきます。


この記事を読むと答えられる質問
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ウイルスと細菌は何が違うのか?
ウイルスに感染すると細胞では起こるのか?
なぜ抗体があると免疫力が高まるのか?
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【ウイルスと細菌の違い】

・大きさ 
ウイルスの大きさは数十~数百nm(ナノメートル)で
細菌の大きさは一~十μm(マイクロメートル)です
1μm=1000nmなため、ウイルスは細菌の十~百分の一程度の大きさでかなり小さいことが分かります。

・構造
ウイルスは細胞単位ではなく、粒子単位の構造体です。
ウイルス粒子は中心の核酸とそれを取り囲むカプシドという殻から構成されます。
カプシドの外側にエンベロープという膜をもつウイルスも存在します。
*核酸=DNA、RNA *カプシド=タンパク質 *エンベロープ=タンパク質と脂質

細菌は細胞単位の構造体です。
細胞内は染色体とリボソーム、細胞外は細胞膜と細胞壁で構成されています。
リボソームはDNA由来の遺伝子情報を読み取り、タンパク質を合成する機能を持ちます。
*染色体=核酸を含む凝集体

ウイルスと細胞の大きな違いとして、リボソームの有無であることが分かります。
この違いが次で説明する、自己増殖能の違いに繋がっていきます。

・自己増殖能
リボソームからは複数の様々な機能を持つタンパク質が合成されます。
細胞ではタンパク質を使い細胞の複製が行われ、この繰り返しで細胞増殖がなされなす。
一方、ウイルスはリボソームを持たないため、単体での増殖が出来ません。

しかし事実、ウイルスは増殖し度々私たちの生活を脅かしています。
それはウイルスが感染という形で細胞(宿主細胞)の能力を利用しているからです。

【ウイルス感染症】

・感染
ウイルスはまず宿主細胞内に侵入します。
その後ウイルスの脱殻、つまりカプシドが壊れ核酸が放出されること、が起こります。
ウイルスは、脱殻により出てきた核酸由来の遺伝子情報を、宿主細胞が持つリボソームに読み取らせ、
ウイルス複製に必要なタンパク質等を合成させます。
このようにして、ウイルスは本来は宿主細胞が自身の細胞を複製するために持つ機能を利用して、
ウイルスの増殖を行わせています。
もう少し分かりやすいように例えると、ウイルスが自分を作るための設計書(=遺伝子情報)を使って
他所の工場(宿主細胞の複製能)でウイルスを作らせている、ということになります。
・ウイルス感染症
前述したウイルスが宿主細胞に侵入し増殖することを、「感染」といいます。
ウイルスに感染した細胞は、正常に機能できなくなるため、通常は死にます。
細胞が死ぬと、その細胞から新しいウイルスが放出され、他の細胞に感染します。
このようにしてウイルスにより宿主細胞が死ぬことで、感染症の症状が現れます。
ウイルスの種類ごとに感染しやすい細胞が異なるため、症状も身体の局所(のど、目、肺など)に現れます。

【ウイルス感染予防】

ウイルスの感染予防と言えば、ワクチン、予防接種、抗体などの言葉を連想する人が多いと思います。
それぞれの言葉の意味はもちろん、その背景ある免疫機構についても説明していきます。

・抗体とは
異物の体内への侵入には3つの障壁あります。
異物としてウイルスや細菌が当てはまります。
1つ目は、皮膚や粘膜等の物理的に異物の侵入を防ぐものや、粘液等の化学的に異物を溶かすなどして破壊するものです。
2つ目は、自然免疫と言い、侵入した異物を広い範囲で認識し貪食して破壊するものです。
貪食細胞としてマクロファージ、好中球などが挙げられます。

3つ目は、獲得免疫と言い、自然免疫で処理しきれなかった異物(=抗原)を免疫反応によって破壊します。
抗原に特異的な目印を樹状細胞が認識し、キラーT細胞とヘルパーT細胞に伝達します。
キラーT細胞は直ちに異物の攻撃を開始しますが、ヘルパーT細胞はB細胞に抗体生産の指示を出します。
抗体は抗原を認識し、抗体自体が抗原の作用を中和・無毒化したり、貪食細胞などへ攻撃を促したりします。

抗体は1度作られるとしばらくの間体内に留まるため、次に同じ抗原が侵入した際に、
迅速にその抗原に特異的な抗体が、抗原を認識することで、最適な攻撃態勢を整えることができます。
それゆえ抗体を持つことが感染予防に有効な手段となります。

・ワクチンとは
感染症の原因となる細菌やウイルスの病原性を弱めた又は、細菌やウイルスが作り出す毒素を無毒化したものです。

・予防接種とは
ワクチンを接種することで感染症に対する免疫を高める方法です。


今回は新型コロナウイルスの話題でよく耳にする、ウイルス、ワクチン、抗体などの言葉の意味について説明しました。
正しい知識を持って、正しい情報、対策を選択するお手伝いができたなら幸いです。