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なぜ糖尿病薬「GLP-1」が痩身処方されるのか

GLP-1という糖尿病の治療薬が「ダイエット注射」として
適応外使用されていることに医師会が注意喚起を行った!

という驚きのニュースがインターネットニュースで報じられました。

そこで、医師会が注意喚起を行った「GLP-1」とはいったい何なのか
なぜ糖尿病の治療薬がやせるための薬として用いられるのか
詳しく解説します。
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■GLP-1とは?

体内では、食事後に十二指腸や小腸から「インクレチン」というホルモンが分泌されます。
GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)はこのインクレチンというホルモンの1つです。

【膵臓での働き】
インスリンの分泌を増加(インスリンは血糖値を下げるホルモン)
グルカゴンの分泌を減少(グルカゴンは血糖値を上げるホルモン)
つまり、血糖値を低下させるように働きます。

【消化管での働き】
胃の蠕動(ぜんどう)運動を抑えて、
胃の内容物が小腸へ送られるを遅らせ、体内への吸収・食後血糖値の急激な上昇を抑えます。

【中枢神経での働き】
GLP-1は、脳の神経細胞からも分泌され
脳に内在するGLP-1は室傍核に作用して摂食を抑制していることが解明されています。
2型糖尿病の治療では、体重管理も大切になるため、GLP-1治療は効果的だといえます。


■GLP-1の欠点

体内で分泌されるGLP-1は、DPP-4 という酵素によってすみやかに分解されてしまいます。
そのため、そのままでは薬として使用できません。
そこで、DPP-4 の働きにも邪魔をされないようにGLP-1構造に少し変化を加えて誕生したのが
「GLP-1受容体作動薬」です。


■GLP-1受容体作動薬の種類

現在、GLP-1受容体作動薬は自己注射による投与が主な治療法です。
自己注射の頻度は、下記の2タイプに分かれています。

・毎日注射タイプ
・週に1回注射タイプ

低血糖は、糖尿病の治療でもっとも怖いとされる副作用の1つですが
そもそも、GLP-1は血糖値が高いときのみ働くホルモンのため
食前や食間のタイミングで血糖値を下げる心配がありません。

そのため、週に1回の自己注射でも急激に血糖を下げるということがないので
使用者の負担を減らすことが出来ます。

※GLP-1受容体作動薬とその他の糖尿病薬と併用している場合は
低血糖の危険性がありますので注意をしてください。

ただし、自己注射がどうしても怖い、できないという方もいらっしゃいます。
そのような方には、DPP-4酵素の働きを抑えてGLP-1の分解を抑制する
DPP-4阻害薬という種類の飲み薬があります。
注射は苦手という方は、お医者様に相談してみてはいかがでしょうか。


■GLP-1受容体作動薬の未来

世界初の経口投与可能なGLP-1受容体作動薬が欧州で承認されました。
日本をはじめとする複数の国でも現在、承認審査中のため
自己注射をせずに、治療ができる日が近い将来やってくることが期待されています。
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「注射をするだけで痩せる」というのはとても魅力的なフレーズです。

しかし、GLP-1受容体作動薬の注射は魔法の薬ではありません。
吐き気や下痢、腹痛といった副作用や
海外にて、非常にまれですが壊死性膵炎の報告もあります。

医薬品を使用するときは
自分の体のために本当に必要な薬なのか、自分にあった薬なのかよく考え
お医者様ときちんと相談をすることが大切です。